極悪と戦えば極善となる

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追撃の手をゆるめるな


「追撃の手をゆるめるな!」 昭和33年4月3日 本幹 豊島公会堂


人間革命 12巻 寂光の章より一部抜粋


三月も末に迫った日のことであった。総本山の整理役員として登山していた青年が、早朝、六壺の前を通りかかると、一人の僧侶が、お小僧さんたちを怒鳴り散らす光景に出くわした。彼らの多くは小・中学生であり、見るからにあどけない少年もいた。


「勤行のやり方がなってねえんだよ。いいか、だいたいお前らはな・・・」


この僧侶は所化頭であった。酒を飲んでいると見え、顔は異様に赤かった。
所化頭はさんざん罵声を浴びせると、ひとかかえもある六壺の大きな鈴を手にし、一人のお小僧さんの頭に被せた。そして、その上から、鈴棒を力まかせに振り下ろし、打ち据えたのである。


伸一は報告を聞くと、顔を曇らせていった。


「また、そんなことがあったのか・・・」


じつはその前にも、清掃作業などのために総本山に雇われていた特別作業班の青年部員から同じような報告が寄せられていたのである。作業班の青年たちは大坊に宿泊していたが、この所化頭が酒を飲んで、お小僧さんたちをすごい剣幕で罵倒する現場を目にした。


「お前たちなど、身延にいってしまえ!」


そして、その時も、鈴を頭に被せて、鈴棒で打つという狂態を演じたのである。
作業班の青年は、憤りに燃えて、その様子を、伸一に報告した。役員の青年の一人が山本伸一に言った。


「参謀室長、それだけじゃありません。あの所化頭は、登山者がお小僧さんのために持ってきた各地の銘菓や果物に対して、『こんな余り物を』と吐き捨てるように言っているんです。十六日に戸田先生を車駕にお乗せしたことについても『総本山では乗り物は禁止されているのに、いい気になってなんだ』と声高に罵っていました。もう、黙っているわけにはいきません」