極悪と戦えば極善となる

 「破邪顕正」謗法呵責をメインに記事を綴っていきます。なお、コメント欄に初投稿する場合は、軽く自己紹介をするようにお願いします。管理人が非常識、悪質なコメントと判断した場合、削除させていただくこともありますのでご了承ください。

追撃の手をゆるめるなⅢ

伸一は込み上げる激情をこらえ、諄々と諭すように語り始めた。


「いいですか。このたびの大講堂の落成は、日蓮正宗の七百年の歴史に輝く、晴れの壮挙なのです。その慶祝登山のさなかに、僧侶が朝から酒を飲んでいるようなことがあってよいのですか。しかも、あなたはお小僧さんを不当に苛めている。鈴を被せて打つなどということは、修行でも、訓練でも、決してないはずです。暴力、暴言は、私どもとしても見過ごすわけにはいきません。是非おやめください」


「学会員は、僧侶の皆さんを尊敬しようとしているし、お小僧さんも心から大切にしています。それだから、登山のたびに、お小僧さんたちにひもじい思いをさせてはならないと、苦しい生活費のなかから菓子や果物を買い、お届けしてきたのです。しかし、あなたはそれを『余り物』と言い、学会員を悪く言う。それでは、あまりにも、学会員を愚弄しているではありませんか。みんなの真心を踏みにじらないでいただきたいのです」


「また、あなたは日頃から戸田先生や学会の青年部員に反感をいだき悪口を言っていると聞きましたが、そういうことも、おやめいただきたいのです。もし、御意見や批判があるのならばお伺いしますので、私に言ってください・・・」


伸一は忍耐強く、噛んで含めるように所化頭の非をただした。真心をつくしての説得であった。所化頭は、意固地になっていると見え、憮然とした態度をとりつづけていたが、次第にうなだれていった。最後に伸一は、


「あなたのことは宗門にお任せしますが、私たちの思いをわかってください」


と言って、立ち上がった。それまで押し黙っていた所化頭の、「すみません」という声が、かすかに聞こえてきた。伸一をはじめ、青年たちは引きあげていった。


追撃の手をゆるめるなⅡ

伸一は所化頭に反省を求める必要があると考え、総本山の内事部を訪れた。
内事部にいた宗門の理事は、事情を聞くと、「それでは彼を呼んで反省を促し、謝罪させましょう」と約束してくれた。しかし、所化頭は、自分の言動が問題にされていることを知ると、姿を隠してしまった。だが、近くの旅館の押し入れに隠れているところを見つけられ、やむなく六壺にやってきた。そこには、学会の青年部の幹部も二、三十人ほど出向いていた。


所化頭は、酒の匂いをさせながら、憮然とした表情をしていた。学会の青年たちは、日頃の所化頭の言動をあげて、その真意を尋ねるとともに、反省を求めようとした。


「あなたは、お小僧さんに、『身延の山へ行ってしまえ』といったり、暴力を振るったりしていますが、なぜ、あんな酷いことを言ったり、したりするんですか」


所化頭は押し黙って青年たちを睨みつけるばかりで、まったく反省している様子はなかった。同席していた僧侶も困惑していた。間もなく御開扉のために、日淳上人がここを通られる時間が迫っていた。青年たちは、御心配をおかけしてはならないとの思いから、場所を移して話し合うことにした。


「あなたは僧侶しとして、大事な記念行事のさなかに、毎日、酒など飲んで恥ずかしいとは思わないんですか・・・ちゃんと、質問に答えなさい」


伸一は青年たちが怒りのあまり、口調が詰問調になるたびに、「まあ、待ちなさい」と、制止することを忘れなかった。伸一は僧侶の無残な醜態を前にして、憤りを通り越して、むしろ悲しさを覚えていた。戸田が宗門の興隆のために、外護の赤誠を貫いてきたことを嘲笑うかのように、僧侶の腐敗、堕落は、限りなく進行していたのである。
                

追撃の手をゆるめるな


「追撃の手をゆるめるな!」 昭和33年4月3日 本幹 豊島公会堂


人間革命 12巻 寂光の章より一部抜粋


三月も末に迫った日のことであった。総本山の整理役員として登山していた青年が、早朝、六壺の前を通りかかると、一人の僧侶が、お小僧さんたちを怒鳴り散らす光景に出くわした。彼らの多くは小・中学生であり、見るからにあどけない少年もいた。


「勤行のやり方がなってねえんだよ。いいか、だいたいお前らはな・・・」


この僧侶は所化頭であった。酒を飲んでいると見え、顔は異様に赤かった。
所化頭はさんざん罵声を浴びせると、ひとかかえもある六壺の大きな鈴を手にし、一人のお小僧さんの頭に被せた。そして、その上から、鈴棒を力まかせに振り下ろし、打ち据えたのである。


伸一は報告を聞くと、顔を曇らせていった。


「また、そんなことがあったのか・・・」


じつはその前にも、清掃作業などのために総本山に雇われていた特別作業班の青年部員から同じような報告が寄せられていたのである。作業班の青年たちは大坊に宿泊していたが、この所化頭が酒を飲んで、お小僧さんたちをすごい剣幕で罵倒する現場を目にした。


「お前たちなど、身延にいってしまえ!」


そして、その時も、鈴を頭に被せて、鈴棒で打つという狂態を演じたのである。
作業班の青年は、憤りに燃えて、その様子を、伸一に報告した。役員の青年の一人が山本伸一に言った。


「参謀室長、それだけじゃありません。あの所化頭は、登山者がお小僧さんのために持ってきた各地の銘菓や果物に対して、『こんな余り物を』と吐き捨てるように言っているんです。十六日に戸田先生を車駕にお乗せしたことについても『総本山では乗り物は禁止されているのに、いい気になってなんだ』と声高に罵っていました。もう、黙っているわけにはいきません」