極悪と戦えば極善となる

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追撃の手をゆるめるなⅢ

伸一は込み上げる激情をこらえ、諄々と諭すように語り始めた。


「いいですか。このたびの大講堂の落成は、日蓮正宗の七百年の歴史に輝く、晴れの壮挙なのです。その慶祝登山のさなかに、僧侶が朝から酒を飲んでいるようなことがあってよいのですか。しかも、あなたはお小僧さんを不当に苛めている。鈴を被せて打つなどということは、修行でも、訓練でも、決してないはずです。暴力、暴言は、私どもとしても見過ごすわけにはいきません。是非おやめください」


「学会員は、僧侶の皆さんを尊敬しようとしているし、お小僧さんも心から大切にしています。それだから、登山のたびに、お小僧さんたちにひもじい思いをさせてはならないと、苦しい生活費のなかから菓子や果物を買い、お届けしてきたのです。しかし、あなたはそれを『余り物』と言い、学会員を悪く言う。それでは、あまりにも、学会員を愚弄しているではありませんか。みんなの真心を踏みにじらないでいただきたいのです」


「また、あなたは日頃から戸田先生や学会の青年部員に反感をいだき悪口を言っていると聞きましたが、そういうことも、おやめいただきたいのです。もし、御意見や批判があるのならばお伺いしますので、私に言ってください・・・」


伸一は忍耐強く、噛んで含めるように所化頭の非をただした。真心をつくしての説得であった。所化頭は、意固地になっていると見え、憮然とした態度をとりつづけていたが、次第にうなだれていった。最後に伸一は、


「あなたのことは宗門にお任せしますが、私たちの思いをわかってください」


と言って、立ち上がった。それまで押し黙っていた所化頭の、「すみません」という声が、かすかに聞こえてきた。伸一をはじめ、青年たちは引きあげていった。