極悪と戦えば極善となる

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提婆達多の悪を徹底して糾弾した釈尊Ⅰ

教団の統率を譲るように申し出た提婆達多に釈尊はこういった。


『やめなさい!舎利弗や目連らにも教団の統率をまかせていないのに、汝のように人の唾を食らう者(アジャセ王に取り入っていたことを指す)に教団の統率を任せられるわけがない!』


大勢の前で面罵されたことに腹をたてた提婆達多は、釈尊に怨念に近い憎悪を抱く。
『皆の前で恥をかかせやがって。これからは俺はやつの大怨敵となってやろう』


釈尊は、提婆達多が悪心を抱いていることを、いち早く弟子につげる。


「遂に、提婆達多の本性は明らかになった。私利私欲を貪る者である。王舎城で彼の正体を皆に伝え、こう宣言するのだ。【彼は、以前の提婆達多ではない。私利私欲を貪る者である。彼の行動や発言は仏陀の教えでも、教団の指導でもない。それは我見にすぎない】と。
もし、これに反対の者は意見を言いなさい」


釈尊のこの提案に、戸惑う弟子もいた。
提婆達多は釈尊の引退を迫ったが、表面上は、釈尊の健康への気遣いを理由にしていた。
それだけに、まだ、彼の邪悪な本性がわからなかったのだ。


また、釈尊の意見は、同志を追い込む、冷酷な仕打ちのような気がしていたのである。
彼らは、事態の深刻さが理解できていなかった。悪と戦うことをためらう、その感傷が、多くの仏弟子を迷わす結果になることが、わからなかったのだ。


「舎利弗よ!長老であるあなたが、王舎城で提婆達多を糾弾してくるのだ」


「世尊、私には、それはできません。私は、かつて王舎城で、提婆達多は偉大な力があると、称賛してきました。その私がそうしたことをいうのは・・・」


「本当に提婆達多を称えてきたのか!」


「はい・・・」


「だからこそ、戦ってくるのだ!あなたが出向いて、提婆達多の本性を暴き、仏陀に違背したものであると宣言してくるのだ」


悪と徹底抗戦する心が定まらなければ、悪人に付け入る隙を与え、正義も破られてしまう。釈尊は、それを弟子たちに教えようとしたのである。


      (参考文献 法華経の智慧第3巻 新・人間革命3巻 仏陀の章より一部抜粋)